第43回卒業式 式辞

第43回卒業式 式辞

 みなさんが加木屋南小学校で過ごした最後の冬は,ここ東海市でも雪が積もる日があり,例年にない寒さの厳しい冬でした。でも,校庭のサクラはみなさんの卒業を祝ってくれるかのように,つぼみをふくらませています。
 百四十七名の卒業生のみなさん。ご卒業おめでとう。
 今,卒業証書を手渡したとき,みなさんは本当にいい表情をわたしに返してくれました。
 口元に浮かんだ優しい笑み。緊張にほんのり赤く染まったほほ。そして,未来を見つめ,希望に満ちた輝く瞳。
 本当に大きくなったねぇ。たくましくなったねぇ。
 みなさんと出会ったのは,みなさんの入学式の日でした。わたしもこの加木屋南小学校に赴任したばかりでした。踏んでしまいそうなちっちゃくてかわいらしい子たちだったね。
 あれから6年。いろんなことがありましたが,どの思い出の中にも,みなさんの一生懸命な姿があふれています。

 中でも,みなさんがそうであるように,わたしも修学旅行の思い出は決して忘れることができません。法隆寺の荘厳さ,玉虫の厨子百済観音像の美しさ,昼食のカツカレー,みんなで記念写真を撮ったこと,大仏様のあの大きさ,シカの恐怖,夜店での買い物,初めてのタクシー研修,感動とさまざまな思いが満ちていました。
 でもね,わたしが一番感動したのは,みなさんにです。ずっと準備してきた計画,限られた時間の中で一生懸命研修して,一生懸命旅館へ帰ってきました。一つの班も遅れることなく旅館に到着したその姿は,本当に頼もしく見えました。初めての京都タクシー研修も,計画をじっくりねってましたね。京都駅に到着するタクシーから降りてくるみなさんは,ほんの数時間のはずなのに,なんだかすごく成長したように見えました。修学旅行も,わたしの大切な思い出になりました。
 
 さて,みなさんを待っている中学校生活は,決して平穏なものではありません。勉強はもちろん,部活動やいろいろな活動も,小学校とは比べものにならないくらい,自分で考え自分で行動しなければなりません。でもそれは,避けては通れない大切な試練なのです。一生懸命努力しても,すべていい結果が出るとは限りません。でもね,くじけてはいけません。逃げてはいけないのです。ましてや誰かのせいにしたり,世の中のせいにしたりして,不平や不満を言ってはいけません。厳しさを正面から受け止めてください。
 間違いなく言えることは,一生懸命なその瞬間は,必ず輝いているということです。
 ドッジボール大会や運動会,学習発表会,部活動,委員会活動やペア活動。いつでもどこでもみなさんは一生懸命で,その姿は本当にかっこよかった。
これからも,一生懸命勉強する。一生懸命部活動をする。一生懸命友達を思う。そしていつか,一生懸命仕事をする。一生懸命誰かを愛する。一生懸命家族を守る。一生懸命世の中に貢献する。一生懸命感謝する。結果も大切ですが,瞬間瞬間を輝いてください。強くて優しい心を身につけてください。一生懸命なみなさんなら,必ずできます。

 今日は,みなさん晴れの門出を,こんなに多くのお客様が見守ってくださっています。教育委員会のみなさま,議員の方々,地域の方々やPTAのみなさま。そしておうちの方々もみんな,みなさんが立派に成長することを期待し,信じていらっしゃいます。そうそう,みんなのすぐ近くに,大先輩がいるんだよ。おうちの方も,先生もみんな昔は中学生だったんです。だから何でも相談してください。先輩として相談に乗るからね。

 さあ,今,別れの時,飛び立とう未来信じて。『はずむ若い力信じて,この広いこの広い大空に。』 ※注『 』の部分は歌う
 【声が出ない場合・・・さあ,旅立ちの時です。これからもずっと一生懸命なかっ  こいいみんなでいてください。】
 そして最後に,みなさんに出会えて本当によかった。すてきな毎日をプレゼントしてくれたみなさん,ありがとうございました。

 平成24年3月19日
 
        東海市立加木屋南小学校長  森 田 裕 泰